font-familyに游書体(游明朝/游ゴシック)を指定する
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OS X MavericksとWindows 8.1からは、游書体の游明朝体と游ゴシック体が標準インストールされています。
游書体はMacOS Xの標準書体であるヒラギノシリーズの制作・監修を担当した有限会社字游工房が制作した書体で、2010年に全ファミリーが完成しています。これまでにも游書体は、Windows Phone7.5の日本語のシステムフォントとして、iOSではiBooks3.0のアプリ専用フォントとしても利用されています。
- 字游工房_游書体ライブラリー_游明朝体ファミリーより
游明朝体ファミリーは「時代小説が組めるような明朝体」をキーワードに、単行本や文庫などで小説を組むことを目的に開発した游明朝体Rを核とした明朝体ファミリーです。
文字の大きさの揃った現代的な明るい漢字と、伝統的な字形を生かしたスタンダードなかなの組み合わせは、これまでの明朝体とは違う、游明朝体の大きな特徴です。
- 字游工房_游書体ライブラリー_游ゴシック体ファミリーより
游ゴシック体ファミリーは、游明朝体と一緒に使うことを想定して開発された、スタンダードな角ゴシック体ファミリーです。 ややフトコロがせまい漢字と、伝統的なスタイルを持ったすこし小さなかなの組み合わせが、このファミリーの大きな特徴です。
font-familyで指定する
游明朝体と游ゴシック体の游書体をWebで利用するには、font-familyで指定することで可能です。ただし、WindowsとMacとで表記が異なります。
游ゴシック体の場合
.sample{
font-family :
YuGothic, /* Mac用 */
'Yu Gothic', /* Windows用 */
sans-serif;
}
英文字ファミリの場合、Windowsでは'Yu Gothic'
と半角スペースが存在し、MacではYuGothic
と英文字ファミリ名に半角スペースは存在しません。
OSによる認識の違いを考慮すると、上記のように指定をする必要があります。
游明朝体の場合
.sample{
font-family :
YuMincho, /* Mac用 */
'Yu Mincho', /* Windows用 */
serif;
}
游ゴシック体の場合と同様ですが、英文字ファミリの場合、Windowsでは'Yu Mincho'
と半角スペースが存在し、MacではYuMincho
と英文字ファミリ名に半角スペースは存在しません。
Windowsで游ゴシックが細くかすれた状態で表示される問題
游ゴシックとともにfont-weightが400以下で指定されている場合、Windowsでは細くかすれた状態で表示される問題があります。何故このような問題が起きるのかといいますと、次の表を確認してもらうとわかりやすいのですが、WindowsとMacではインストールされているフォントの種類が違うために起こってしまいます。
種類 | Windows 10 | Windows 8.1 | Mac |
---|---|---|---|
Light | ○ | ○ | - |
Regular | ○ | ○ | - |
Medium | ○ | - | ○ |
Bold | ○ | ○ | ○ |
游ゴシックとともにfont-weightが400以下で指定されている場合、Windowsでは游ゴシックのRegularやLightが適用されることになり、これが細くかすれた状態で表示される原因となっています。
解決法
この問題を解決する方法は、仔細に説明をしますとかなり回りくどくなってしまいますので、本稿では結論のみで割愛をいたしますが、次の解決コードに至るまでの詳しい経緯を知りたい方は、モダン日本語フォント指定をご一読ください。
@font-face {
font-family: 'MyYuGothicM';
font-weight: normal;
src: local('YuGothic-Medium'), /* PostScript Name = localの正式な指定方法 */
local('Yu Gothic Medium'), /* PostScript Nameを認識できないChrome用にFull Nameを指定 */
local('YuGothic-Regular'); /* 游ゴシックMediumが存在しないWindows8.1用 */
}
@font-face {
font-family: 'MyYuGothicM';
font-weight: bold;
src: local('YuGothic-Bold'), /* PostScript Name = localの正式な指定方法 */
local('Yu Gothic'); /* PostScript Nameを認識できないChrome用にFull Nameを指定 */
}
.sample{
font-family :
MyYuGothicM, /* Windows調整用 */
YuGothic, /* Mac用 */
sans-serif;
}
游ゴシックの問題を取り上げましたが、ちなみに游明朝の場合も、font-weight:500;
が指定されている場合に、游ゴシックと同様にWindowsとMacでインストールされているフォントの種類が厳密には違うことによって太さが違った見え方をする問題があります。これは、font-weight:500;
を使わなければ回避できる問題ですので、その点にだけ気をつけると良いでしょう。